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向日葵の咲かない夏
おばあちゃんに貰った本。
とてもとても深い本だと思った。
生まれ変わりは素敵だと思えるし、信じたいと思ってしまう。
蜘蛛だからS君なんだろうか。
そんなことはどうでもいい
多くは書かず描かず、読者の誰しもが持つ先入観と憶測で物語を錯覚させるのが作家の本分だとは思うが、それを余りにも鋭角に持って行かれると読者は置いていかれてしまうもの。
でも、この小説はとてつもなく良いバランスで構築されていると思った。
最後の最後まで多くを語らず、悟らせられた。悟ったんじゃなく。
ページでいうと、真ん中辺りを過ぎた頃から本を捲る手が止まらなかった。
謎が解けた、という快感を覚えさせられては間違いだったと落とされる。
それが気持ち良いのかもしれない。
ミチオは最初S君に諭されるだけの普通の男の子だったのに、目的を見つけてから加速度的に頭が良くなる。でもその理由もよく分かった。
「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。その物語はいつだって、何かを隠そうとしてるし、何かをわすれようとしてるじゃないか」
「壊しちゃうしか、ないだろうね」
ミチオはきっと、悔やまないだろう。
後味が最高の小説だった。